最近、米国の「デス・バレー」(death valleyなんだろうなたぶん)というところで、摂氏57度だったかの気温が観測され、これが世界最高気温に認定された?というようなニュースに遭遇した。
この「デス・バレー」という場所、海抜マイナス60メートルくらいの盆地のようなところらしいのだが、それ故に暖気というか熱気がこもるらしく、従前よりこのように大変な最高気温を記憶することがたびたびだったよう。
今年は北米は数百年に一度と言われる熱波の襲来で、カナダの都市でも45度以上という、最近異常な暑い夏がたびたびの日本でもさすがにそこまでは、という最高気温を記録してしまっているよう。気候変動の影響はあるのだろうが、やはり大陸の気候というのは激しい。カナダについて言えば冬になればしっかりマイナス20~30度と言うことなのだろうし。
ところで、世界最高気温といえば、子どもの頃に読んだそういった記録を記載した本に、「イラク・バスラで58度」という記載があった。この記録はどうなってしまったのか?こっちのほうが高いではないか?という疑問があったのでちょっと調べると、確かに日本ではそれが世界最高気温の記録としてかなり浸透しているようなのであるが、そもそもこの記録を最初に記載した1930年代のある先生の論文において、根拠や元データが何ら示されておらず、その後もこの論文の孫引きのような形で、何ら出所等が検証されることなくずっと他の文献においても引き継がれてきていた、というのである。ネット上で発見した、「気温の世界最高記録とされる「バスラの58.8℃」について」という、そのまんまのタイトルの小論文(あるいはコラム?藤部文昭さんという方の執筆による)に、このことが簡潔に述べられている。
子ども時代に得た知識というのは、頭の、心の深く深くに刻まれ、それはほぼ更新されることなくあたかも「真実」であるかのように残り続けていることが少なくない。観測数値であれ研究成果であれ、検証されたりさらなる研究の進展等でどんどんアップデートされていくものであることは理屈ではわかっていても、なかなか気づかないものである(恐竜に関する知見なんて全然変わっているようである。)。まして、上記の記録については、どうも専門家の間でも特段の検証もなく長年引き継がれてきてしまっていたようである。足元の知識や知見というものは日々疑ってかかることが重要なのであろう。
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