三大ギタリスト

エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジのyardbirds出身ギタリストたちをこのように呼ぶのは、日本だけの話だそう。

しかし、我々世代の前後の日本のロックファンは、皆このようなくくりでこれらギタリストを特別な目で見てきたと思う。

3人とも基本的なルーツにはブルースがあるのだと思うが、その後進んだ道は三者三様。

ジョンメイオールズ・ブルースブレイカーズ~クリーム~ブラインド・フェイスを経て、アメリカ南部への指向を強めたクラプトンは、デレク・アンド・ザ・ドミノスでブレイク。その後は基本的に、ハードロックやブルースロックの王道とは若干道を違えた路線で進んできた。ここ数年はバックトゥザルーツで、かなり枯れたイメージでやっている感がある。

ジミー・ペイジは、最後期のヤードバーズから、ニュー・ヤードバーズ~レッド・ツェッペリンで世界的な成功を収めたが、ジョン・ボーナムの死で解散後のソロ活動は、正直なところあまりさえたものはなく(ポール・ロジャースとthe firmを結成したり、ロバート・プラントとの一時的なコラボ、またデイヴィッド・カヴァーデイルとのコラボ等もあったが)、最近はもうギターを弾くこともあまりないような感じがする(鳴り物入りで来日したのに全然弾かないで引っ込みひんしゅくを買ったことは以前書いたとおり)。

そして、ジェフ・ベックは、ヤードバーズがヒット曲を何曲か飛ばした時期(64~67年頃)にまさに看板ギタリストとして君臨し(evil hearted youとか、over under sideway downなどのスマッシュヒット曲で、その後に繋がるプレイの片鱗が聞ける)、脱退後はロッド・スチュアート、ロン・ウッドらとの第1期ジェフ・ベック・グループでブリティッシュ・ハードロックの黎明期を飾り(ツェッペリンよりもよりブルース色が強かったか。まあ、ツェッペリンも1枚目とかは荒削りのブルースロックだが)、第2期ジェフ・ベック・グループでは、ボブ・テンチのブラックかつパワフルなボーカル(私は実はあまり得意ではない)に、マックス・ミドルトンのオルガン、クライヴ・チャーマンやコージー・パウエルのリズム隊でよりブラック・ミュージックに接近し、ベッグ・ボガード・アンド・アピス(これをきちんと聞いていない)を経て(スティービー・ワンダー作のsuperstition~迷信~をものにし)、1975年の「blow by blow(ギター殺人者の凱旋、だったか)」そして翌年の「wired」で、のちのフュージョンの先鞭をつけた。この2枚のアルバム、それにつづくスタジオ版の「there and back」(TDKカセットテープのLPレコードプレゼントで当ててしまった)は、いずれもとてもテンションの高い傑作・名作だと思っている(実はリアルタイムではボーカルの入っていないサウンドに若干困惑というところもあったが、ジェフ以外のヤン・ハマー、リチャード・ベイリー、サイモン・フィリップス等の時に繰り出す超絶プレイには唖然とさせられた。)。その後の作品については、熱心な聞き手とは個人的には言えなかったが、いろいろなジャンルに挑戦し新作を繰り出す旺盛な創作活動にはいつも感心させられていた。そんなこともあって、21世紀になってからではあるが、ライブも複数回見に行っている(今考えれば,1986年あたりに軽井沢でやったサンタナやスティーブ・ルカサーとのジョイントコンサートには行っておけば良かったなどと思う。そういったライブが他にもいくつかあるが,まあ当時はそんなお金もなかったわけで、仕方なかったのだけれども。)。

要するに、三大ギタリスト、とはいっても、一番「ギタリスト」としてクリエイティブであり、イノヴェイティブであったのは、やはりベックであったことは誰も否定しないことなのだろうと思う。

正直、ジェフ・ベックが死ぬというのは、あまり想像できることではなかった。新型コロナの関係で来日が出来ていなかったが、多分今年は来るだろうと思っていたし、そうしたらまたチケットを買わなければならないとも思っていた。78才だったとはいえ、この年齢としては驚異的な現役感があったように思う。まだまだ他のミュージシャンとのコラボとか、新作の発表等、さらなる活動が期待されていたし、さすがに最近は往年の運指とは言えない部分もあったので、このあたりどのように成熟して行くのか、なんて思っていたところもあった。


死亡記事を見たときの衝撃は、ほんと、デビッド・ボウイ以来の感覚であった。ミュージシャンからのコメントもこのとき以来多かったように思う(もっとも、ニューウェーブ以降の世代からはあまりなかったが)。

上記の中でまだ聞いていない部分を今からでも聞き、また何度も聞いてきた作品も聞き直して、偉大な足跡を偲びたい。

ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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