一般には有名ではないけれども、ニューヨーク・パンク・シーンのまさに先駆者。
ニューヨーク・パンクは、ロンドンと比べて「知的」などと言われていたが(それだとなんか、セックス・ピストルズやクラッシュやジャムやストラングラーズが馬鹿みたいな感じもしてしまうし、そんなことは決してないのだが)、トーキング・ヘッズ(もう本当にお世話になった)とか、パティ・スミス(特にデビュー曲が白眉)、ラモーンズ(知的か?)、ブロンディ(これも?)等々ある中で、確かに異彩を放っていたのが、「テレビジョン」だったのだと思う。
「テレビジョン」は、私はリアルタイムで聞いたわけではないが、その後後追いでデビューアルバムを聴いて衝撃を受けた。その中でも(多くのファンがそういうと思うけれども)、やはり「marquee moon」にはやられた。乾いた鋭いギターから入り、スカスカな音、震えるような、また投げつけるようなボーカル、7分近い曲なのだけれども、緊張感が途切れることなく続く、秀逸としか言いようのない曲。何かが自分のどこかに刺さった。この曲の入ったアルバムは名盤であり、しばらく愛聴していた。
多分感じない人には全く感じないのだと思うが。
テレビジョンは、78年頃に「adventure」というセカンドアルバムを出して(これはなぜか個人的にはいまいちなんだったのだけれども),その後長く沈黙したが、92年ごろ(私が今の職業に入ることが決まった頃)に、突如3枚目を出してくれた。正直、テンションはあまり落ちておらず、本当に感動したことを覚えている。当時の愛聴盤になっていた。
トム・バーレインはこのバンドのフロントマン。パティ・スミスとも懇ろだった時期があるようで、コメントも出ていた。REMのマイケル・スタイブとかいくつかのバンドのメンバーのコメントも出ていた。確実にあるジャンルのミュージシャンたちに多大な影響を与えた人物であった。
直接ライブを見たかった人でもあった。
寂しい。
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