ソニックマニア

夏フェスは、暑そうでずっと敬遠していた。

いろんなすごいバンドが来日して集結する、とても魅力的なイベントではあったのだが。

それが、3年ほど前だったか、一念発起してサマーソニックに出向き、その魅力を知ることとなった。その後、コロナもあったりして、縮小してやったりしていたようなのだが、昨年あたりからフルでの開催がまたなされるようになった。

今年のサマーソニックは、ブラーが来ると言うことで、かなり気持ちが動いたのだが(あと、リアム・ギャラガーもいたと思う)、その他にあまり魅力的なラインナップがなく、そんなことを言っているうちに完売となってしまった。

そこで、指向を変えて、その前夜祭的な「ソニックマニア」に繰り出すこととした。

こちらは、金曜日の20時ころ始まり、翌朝5時に終わるという徹夜イベント。正直還暦前の人間には無謀な挑戦ではあったが、どうみてもサマソニよりもこちらのほうがラインナップが充実しており、無謀な挑戦に突っ込むこととなった(同行者は娘)。

以前もそうだったが、海浜幕張はやはり遠い。なにせ東京から鈍行で40分もかかるのだ。十分時間前に到着すると思っていたら、ほとんど開始(と言うか、目当てのものの開始)と同時に会場に入ることとなった。会場は幕張メッセを5分割し、うち4つがライブ会場、もう一つのスペース(真ん中)に食事が出来る場所等が配置されるというものであった。熱帯夜の今日この頃ではあったが、まあ室内なので冷房も入っており、なんとかなる感じ。しかし年齢層は95%以上、いや98%以上が20~30代。同世代やもう少し上の人は本当にまばらであった。もっともそのことは余り気にはならなかったが。

開始に合わせて出向いたのはperfume。私はこのグループがなぜか以前より好きで、もっと短いステージを以前見たこともあった。今回は脇の方からだったがかなり前の方で。いわゆる日本の超人気のグループの1つだと思うが、楽曲は基本テクノサウンドで、これにダンスが本当に未だにすごい(私はあまりダンスとかは興味がないのだが、このグループのキレッキレのダンスだけは感銘を受ける。)。もう30代半ばくらいなんだと思うが、これからいつまでこの路線で行くつもりなのだろうか。とにかく歌唱力を自覚してのしっとりバラード路線だけはやめてほしいと切に願ってはいるが、そうも行かないのだろう。

少し時間が空いて、サンダーキャット。見るのは3度目になる。いきなり最初からドラムスとキーボードとのスリーピースでの馬鹿テクインプロビゼーションが始まってしまった。本当にこの人のテクニックには驚愕する。ベースでギターのようなフレーズを延々弾き続けるのだから。ジャズがベースにある人なので、例えばクリームのようなインプロビゼーションとも、またプログレ系のバンドのそれともちょっと違うものではあるが、唖然として見つめてしまうのは同じ。これと、かつてのAOR路線にも繋がるようなポップな曲とが混在している感じだが、インプロビゼーションの演奏曲にもう少しポップさがあってもよいのかも、などと思いながら聞き入ってた。日本のことが大変好きなようで、MCでいろんなことを話してくれていたのだが、当然ながらほとんどわからず残念であった。途中で出て日本のミュージシャンを見に行こうと思っていたが、結局最後まで見てしまった。

その次に、a tribe called questのメンバー(DJ)のステージに行ったが、これはまあ、ミディアムなラップ系という感じで、あまりピンとこず2曲ほどで出る。0時ころからFLYNG LOTUSのステージへ。こちらは、サンダーキャットとも交流がある人だそうなので、どんな感じなのかと思って見たが、なんというか、映像のインプレッションに合わせた壮大な環境音楽、というかなんとも形容しがたいもので、私の思っていたものとは若干違う感じであった。アニメとかゲームとかに親和性がある音なのかな、とも。

午前1時近くより、電気グルーヴ。これはもう、お祭りのようであった。こちらも、演奏はともかく、バックのCG映像と相まっての大スペクタクルというのだろうか、ある意味このソニックマニアに一番合っているバンドという感じがあった。「シャングリラ」なんてもうずいぶん前のヒット曲だと思うが、このグループにとっての「サティスファクション」なのだろう。人気も大変高く、会場からあふれるばかりの人であった。

最後まで見てもよいと思いつつ、事前のモニターで少し良さそうと思ったirriというのを見に行ってみたが、2曲くらいで出て、本日のお目当ての1つであった、james blakeへ。この人については、数年前にファーストアルバムが話題になり、そこそこ聞いていたが、まあ、非常に個性的なことはわかるけれども、普遍的にムーブメントを巻き起こすまでの音ではない、なんというか、音自体が「極北」、全然違うけれども、例えばPILの「flowers of romance」のようなイメージで捉えていて、注目はしているけれども、愛聴盤になるかはまた別かな、という感じであった。しかし、フルでいろいろな思いを抱えながら聞いたステージは、本日のベストではなかったかな、と思った。初期のなんというか、電子的コラージュ?のようなたたずまいの音調から、若干の穏やかさが入り、曲自体の魅力、またボーカリストとしての魅力も徐々に出てきているのではないかと思う。熱帯夜に清涼剤か。今後末永く質の高い活動を続けてほしいと思った。このぐらいの時間になると会場にはその場で横になる者が多々現れていた。

この次に見た、というか聞いた「autechre」というのは、レディオヘッドのトム・ヨークが影響を受けたと公言していたそうなので、注目していたが、何一つ照明のない真っ暗な会場で、ひたすらメロディーなど何もない激しいいつ終わるかわからないような打ち込みが爆音で延々流れ続けるという、これまた得がたい経験であった。このバンド?ユニット?はいったいなんなのだろうか?ひたすらこの轟音の中でのトランス状態に浸るという感じであった。それでも30分くらいは聞いていたか。

午前4時より、サカナクションの山口一郎のソロのステージがあると言うことだったので、そちらに出向いた。その前のDJの人がクラブミュージック的なのをやっており(この時間帯になると大半のステージはこのような状況。全体がクラブという感じ。)、後半の方でサカナクションの曲をコラージュして流すなどして、徐々に人が集まってきた。しかし、一郎のステージ、と言うかDJ自体は、あまり個性が感じられるものでもなかったので、しばらく見てから出て、娘の学校の先輩だというひと(Licaxxx)というのを見に行ってみた。これはまあ普通の(?)クラブミュージックという感じで、これはこれでというところだったが、こんなところでとりのような時間に出てくるなんてすごい、などと別な意味で感心していた。

終了は5時過ぎ。当然外は明るくなっており、昼の部へのエントリー客がすでに多数行列を作っていた。

個人的にはクラブミュージックもレイヴもほとんど興味はなく(感覚はわからないではないが)、ではあった。ロック系のミュージシャンはほとんどおらず。しかし、事前に期待したようなイベントではあったというのが総じての感想。その中でも、ジェームス・ブレイクやサンダー・キャットのステージはよかったし、Perfumeや電気グルーヴという人気グループのステージを見ることが出来たのもよかった。

徹夜明けで、土曜日はほぼ一睡もしないで、午後は法律相談に出向いた(1~5時待機)。おかしな回答はしていないと思うが。

また、ラインナップによっては、再戦もありかな、といったところ。昼の方もそうだが、やはり今年は熱中症が頻発したそうだ。夏フェスの実施運営のあり方にもいろいろと議論が出てくるのだろうね。


ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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