ライブレポート~ダリル・ホールのバンド&トッド・ラングレンatすみだトリフォニーホール

ダリル・ホール&ジョン・オーツは、80年代中盤にセールス的な絶頂期を迎えた。その頃は日本でもかなり人気があったと思う。私はこのグループのことは中学のころからちょっと気になっていて、なんでアメリカのチャートで上の方に行かないんだろう(70年代中盤には、「サラ・スマイル」「シーズ・ゴーン」「リッチ・ガール」等の大ヒットを飛ばしていたが)と思っていたところ、80年代初頭になって大ブレイクし、ヒットチャート上位の常連となっていた。当時も来日公演はあったと思うが、なんか大変売れてしまったので、ちょっとミーハー的に行くのもな、と思っているうちに、行く機会は失われていた感じであった。

それが、このたびソロ名義でバンドを構成してダリル・ホールが来日公演をやるという。しかも、トッド・ラングレンと一緒、ということであれば、これは一粒で二度よりもっとおいしい、と思い、かなり高いチケットを購入。場所は初めてのすみだ・トリフォニーホール(錦糸町。墨田簡裁とは逆方向だ。)。

どんな構成でやるのかわからないまま、18時開演の遅刻ギリギリに会場に入る。観客の年齢層は予想どおり高いが(おおむね40代以上。70代くらいの人もちらほら。)、今回は女性比率が高い。やはりダリルホール人気か。S席は外れたのでA席だった。果てしなく高いところまで登っていくことになった。まあ、ステージは豆粒とはいわないまでも相当遠いだろうな、というところで。

まず、誰か派手な衣装の人が登場した。第一声から、これはトッドとわかる声。しかも、この人60年代から活動しているのだから、どう考えても70台少し入っていると思うが、なんだこの声量は。まったく全盛期とかわらんではないか。初っぱなからポップの巨人らしい曲で大展開。その後、「i saw the light」「hello it's me」その他聞いたことある曲、聞いたことないけど確かにトッドの曲だろうという曲を連発で10曲、「ooh baby baby」なんていうオールディーズも(リンダ・ロンシュタットもやってた)。おいおい、どこでダリルが出てくるんだよ、これもしかして、ダリルホール「バンド」がバックに入ったトッドのソロ公演だったの?それならそれで最初からいってくれれば文句ないけど、パンフレットとか完全にダリルで売ってたでしょう、などと思っていたら、19時過ぎ頃にいったん終了。20分の休憩を挟んで、ダリル・ホールのバンドが登場。

初っぱなはロック調のチューンで入り、これなんだ?と思ったら「out of touch」それから「say it isn't so」、ポール・ヤングに書いた曲、と言って「everytime you go away」(ポール・ヤングはどうしてるのか)、ユーリズミックスのムニャムニャ(聞き取れず)と言って「here comes the rain again」これはピアノの弾き語り調(あとギタリストのアコギ)。ロバート・フリップのプロデュースだったソロアルバムからも一曲と、やはり引き出しはいろいろあるんで、よりどりみどり。独特のテンポから、超名曲「i can't go for that」をアレンジを入れて演奏し、第2部終了。最初は声が、あれっ?という感じもしたが、徐々に調子が出てきた感じであった。

さらに第3部(アンコールを受ける形)で、ご両人が登場。「wait for me」を掛け合い、それからやはり来るだろうと思っていた「can we still be friends」(掛け合いは、you've lost that lovin' feelingとか、she's goneあたりかな、などと勝手に想像していたが)。もともとホール&オーツがロックと言うよりもブルーアイドソウルなどといわれており、またトッドラングレンも黒人音楽への憧憬をあらわにした多くの曲を書いていただけあり、全体にそのようなタッチでの大人の雰囲気の曲と、時にロック調の曲(しかも大変ポップ)が混じり合うという感じ。2度目のアンコールには、ダリルのバンドだけ登場し、必殺「private eyes」の例の手拍子で終了。ヒット曲も大量にあるけれどもそればかりにも頼らず、アレンジ等こだわりも見せたライブであった。

それにしても、上述したが、この現役感はなんだろうか。特にトッドラングレン。最新作は以前ここでも紹介したが、いまはハワイに住んで創作活動を続けているのだと。歌のうまさも変わりなく、このポップの鬼才はまだまだ先に歩み続けるのだろう。さらに、ダリル・ホールがトッドよりも年上(77才!)であったとは知らなかった。こちらもますます元気という感じで、まだまだ楽しませてくれそう、などと思ってしまう。

始まる前に「見ている際に前のめりにならないようにして下さい」というパネルをもって歩いている職員がいて、なんのこっちゃと思っていたが、始まってから少し前屈みのような感じで見ていたところ、後のはげたおじさん(たぶん年下)から、見えないから前のめりにならないようにしてほしいと指摘されてしまった。しかし、この手のコンサートで前のめりになるなという方が無理であろう。この会場はクラシック等のコンサートにはいいけれども,ロックとか本日のようなコンサートには向いてないのではないか(もっともトッドは以前にもここでやったことがあるらしい)。前のめりになるな、などと言われたのは、100数十回のコンサート体験の中で初めてと言っていい話であった。それはともかく、日曜日の21時近くまで、非常に充実したコンサートであった。



ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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