少し前のことだが、ガン手術の経過観察で新宿に出向いた際に、ウロウロしていたら、「切手センター」というビルの表示を見つけ、おもわずウロウロと入ってしまった。
主に進学予備校が入るそのビルの3,4階あたりのフロアに上がると、中に切手販売店が数軒。
お客さんは少なかったものの、数名、それぞれの店で真剣に、販売されている品物を見ていた。
いずれも結構年季の入ったマニアという感じがしたが、年寄りばかりでもなく、若干若い人も(皆男性)。
かつて、切手収集は、「趣味の王様」と言われていた。
小学生の頃、切手収集は結構ブームで、私も「日本郵趣協会」という団体の会員になり、雑誌やカタログを購入したり、また切手展や販売会を訪れたり等していた。もちろん、小遣いがたくさんあったわけではないので、たまに限られた範囲で買うという感じ。
200種類とか入っているパケットや、まだ封筒から切り取っただけの未整理の状態で袋詰めで売っているものとかを購入して、思わぬ拾いものを手に入れることが楽しみであった。日本の切手が中心であったが、外国の切手もいろいろと購入し、それぞれの国柄(特に共産主義の国とか、イギリス連邦系の国、等々)によるデザインのバリエーションも楽しかった。
収集と言っても単に集めているだけで、ほんとのコレクターのようにきれいにアルバムに整理するようなことは(やろうとおもったことはあるが)ついぞできず、また他の趣味もできてきたりしたので、大学生になるくらいまでにはほとんどやらなくなっていたが、それでもその後もたまに外国に出向いたりすると、切手のお土産を物色したりもしていた。
切手の世界は大変奥が深く、目打ちの貼り方や印刷の技法、色違いやバージョン違い(日本では「菊切手」「田沢切手」、フランスの「種まく人」切手とか)、さらにエラー切手等にまで入り込むと、もう底なし(しかも金も恐らく底なしにかかる)になる。自分はそこまでは行くことはなかったが。
あるときから、切手趣味がいわゆる「根暗」のものだと揶揄するような一部のマスメディアの攻撃があったり(そういえば、「卓球」もかつてはそんな時代があった。)し、また昨今は郵便事情自体が変わってきたり、また切手自体が多様化(ふるさと切手あたりから)したうえ、シールのようなものやイベント的なものがどんどん量産されて、それ自体としての価値やおもしろみは相当薄くなってしまったと思う。
それでも、なつかしく訪れた切手ショップで、私はアフリカのいくつかの国のパケットを3カ国分くらい購入した。いずれもお国柄がよくでているようなデザイン。かつてとは見方が変わったような感じもある(かつては、とにかく古い切手に興味を持っていたものだったが。)。
切手収集に、かつてのような大ブームが来ることはないと思うが、それでもコツコツと地味に収集する人は居続けると思う。コレクターの皆さんは、変な揶揄とか偏見などもろともせずに、コレクションを充実させてほしい。
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