せんせいとよびあうおしごと

私は、この仕事に就いたとき、1つきめたことがあった。
といいますか、1つ、こうなってほしいと思っていたことがあった。

それは、30年後に、この業界から、「せんせい」とお互い呼び合う風習がなくなるということ。

私も、同業者の方に、「せんせい」と呼びかけることはある。
それは、
・相手が年長者、ないし司法修習期が自分より上である場合(体育会的な発想が染みついているので)。
・相手がよく分からない他都県の同業者である場合。
・相手が先生と呼ばれたそうな場合(これは、正直よく分からないので、雰囲気で・・)。

これを実践してきて、20年程度が経過した。

しかし、どうもこの業界の風習は変わりそうになさそうだ。
相変わらず、自分より若い同業者は、「せんせい」「せんせい」と呼び合っている。
ML上も、普段も。
世間話をするときも、
自分のことを「せんせい」と言って話したりする人も多い。

さっちゃんかよおまえは。
「せんせいはね 弁護士ってゆうんだ ほんとはね
だけどえらそうだから 自分のことせんせいって いうんだよ
かなしいね せんせい」

ある意味、業界人同士、お互いを他人と割り切って、職業上呼んでいるだけだから、
これはこれでいいのかも知れない。
また、そのように呼び合うことで、お互い職業的な自覚を確認しあう、なんて考えもあるのかも知れない。
お互い失礼のないように、なんていう感覚もあるのかも。
あるいは、東京ほどには人数が多くなく、まだ顔が見える埼玉にいるから(最近そうでもなくなってきつつあるが)、
そんなことが言えているのかも知れない。

しかし、多くは惰性なのだろう。

私は、この仕事について20年経過しても、
この風習に違和感がぬぐえないままである。
もしかすると、この職業に向いてないのかも知れない。
この風習は、この職業の本質に連なることなのであり、
私は、その本質に合わないのかも知れない。

もし、弁護士会の会則で、「お互いに先生と呼び合う」と決定されたら、
喜んで会則違反を繰り返したい。

土井たか子氏が亡くなった。
この方が、衆議院議長になられた(私は、まつりあげられた、棚上げされた、と当時思っていたが)際、
議員を呼ぶ際にそれまでの「君」ではなく、「さん」と付けて呼ぶようにした。
しかし、次の議長となった扇千景は、あっさり「君」に戻した。
その後もたぶん「君」のままなのだろう。

些細なことなのかも知れないが、
それもこれも、根は同じなんじゃないかとおもったりする。
いろんな意味で。

私は、「先生と呼び合う業界なんて、ろくなもんじゃない」という感覚を、
今後も大事にして行こうと思う。

ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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