35年ぶりの逢瀬~ボストン来日公演~at武道館 9/10/2014

正直、今更ボストンなんて、などと思っていた。
35年ぶり来日の報が新聞に掲載された時、思わず苦笑してしまった。

1976年にデビューし、ファーストアルバムが1000万枚超の売上、2年後に出たセカンドも1000万枚近い売上、さらに8年後に出たサードも恐らく相当の売上、ということで、セールス的には天文学的な数字を収めてきたバンドだが、恐るべき寡作で、この38年間の間に出したアルバムが5~6枚程度。正直、もう解散したと思っていた。
というか、そもそもがこのバンド、フロントマンのトム・ショルツ(MIT卒)のワンマンバンドであり、トム・ショルツの発想とこだわりの元に存続してきていた。つまり、トム・ショルツがこだわり始めて、アルバムを出さないとなると、ずーーーーーっと出さない、出さなかった,と言うことである。それに業を煮やしたか、メンバーはみんな抜けてしまい、ボーカルのブラッドリー・デルブなどは死んでしまった。

そもそもが、そのサウンドは基本的に明るいアメリカンロックをベースとしており、大風呂敷なところや、天文学的な売上も相まって、その位置づけはその後80年代に跳梁跋扈した産業ロック(ジャーニー、REOスピードワゴン、スティックス、それからフォリナーも?)の先駆けということになっているのだと思う。個人的には、この30数年で方向付けられた私の趣味とは相容れないところに来てしまっている。
しかしながら、何を隠そう、35年前の初来日公演、それは私(当時中3)が初めて見た洋楽の公演であった。デビューアルバムの衝撃は、当時洋楽を聴き始めたばかり(小6)であった私には強すぎた。「宇宙の彼方へ」というデビューシングルの邦題もサウンドのイメージをとらえ秀逸であったが、単なる明るいアメリカンロックではなく、独特のスペイシーとも言うべきトム・ショルツのギターや、これに見事にマッチしたボーカル、さらにプログレ色の濃いオルガンサウンド(当初は、「プログレハード」なんていう言い方もされていた)も加わり、最初の2枚のアルバムは、今でも時々聴き直すことがある、そこそこ良いアルバムであった。どでかいパイプオルガンを武道館に持ち込んだ初来日公演のオープニングの衝撃も、未だに生々しい。

そんなわけで、かなり迷ったものの、後悔はしたくないと思い、公演の3日前にチケットを購入し、10/9の公演に臨んだ。

どんだけ高齢者ばかりかな、と思っていたのだが(35年前も、自分より年長者ばかりだったから、みんな55歳かそれ以上かな、などと)、寡作が幸いしたのか(?)、世代が若干ばらついており、90年代あたりにファンになったような世代の人も見受けられた。武道館は結構満員で、しかも2階の後ろの方が結構入っており、自分とおんなじ様な感じでチケットを購入した人が相当程度いたように思われた。

予想通り、メンバーはトム以外は総入れ替えであったが、要のトムのギタープレイは全く衰えておらず、時折テクニックを披露しつつ(おまえはエドワードバンヘイレンか!なんていう細かなはやびきもあり)、新曲も織り交ぜての2時間弱であった。
オープニングの「ロックンロール・バンド」は、35年前と同じ。「宇宙の彼方へ」や「ドントルックバック」などのヒット曲を途中でさらっとやってしまっていたが(ストーンズで言えば、「サティスファクション」を6曲目でやってしまうようなもんだ)、終わってみればやはり初期のアルバム2枚からの演奏が多かった。プログレ色の濃い「フォープレイ~ロングタイム」もしっかりやってくれた。
前のブロックの3人連れくらいのサラリーマン連中と自分とが、ほぼ同じところで盛り上がっていた。やはりボストンは初期でしょう。まだ産業ロックなんて言われてないころの。寡作であったが故か、人によって盛り上がるところがそれぞれだったのが興味深かった。
ボーカルや、ギタリストのうち男性の方も結構頑張っていたが、ギターと共鳴していたブラッド・デルブの高音は結構すごかったのだ,と言うことを、今回のボーカルが高音の音程を時々落としてやっているのをききつつ感じさせられた。

新譜からの曲もやっていたが、購入すると言うところまではいかないだろうね。
まあ、でも、一財産をなしてしまい、もう悠々自適かなと思っていたトムが、また活動を再開した、というのは、それはそれで結構だったのではないかと思う(また数年あけてしまうのだろうが)。

まあ、あれだけ売れたバンドでもあったし、お客さんがそこそこ満員に近く入っていて、それはよかった。
いやあ、でも今だに、トムショルツのギターの音はいいなあ、なんて思うなあ。

ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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