70年代のディヴィッド・ボウイはホントにすごかった。
アルバム毎に、新たな基軸を打ちだし、
スペースボーイから、ハードロック、フォーク、グラムロック、フィラデルフィアソウル、シンセサイザーサウンド(ロバフリやイーノも参加したベルリン三部作)、そして「スケアリー・モンスターズ」へと。
83年、「レッツ・ダンス」を出して以降は、大衆路線へと向かい、以前の研ぎ澄まされたセンスは後退してしまったが、
それでも一昨年春に突如、「ネクスト・デイ」で復活したときの衝撃は未ださめやらない。
なにせ、心臓バイパス手術をしてから、ライブはおろか、新譜も出してなかったのだから。
後進に影響を与えたという意味でも、ビートルズに並ぶ功績があるのではないだろうか。
同時代のルー・リードやイギーポップ、ロキシー・ミュージック、70年代後半のパンク・ニューウェーブ系、80年代のニュー・ロマンティック系、ここから派生したカルチャークラブ、デュラン・デュラン、ヒューマン・リーグ等の第2次ブリティッシュ・インベイジョンといわれた連中、日本でもいわゆる「ビジュアル系」といわれた一連のバンド等々、影響のすそ野はホントに幅広い。
そんなボウイの初期を支えた2人、トニー・ヴィスコンティとウッディ・ウッドマンジーを看板とするバンドが来日公演を行った(7/7 ビルボードライブ東京)。
トニー・ヴィスコンティは、ボウイの初期、1970年に発表された「the man who sold the world」(世界を売った男)というアルバムをプロデュースした人で、同アルバムではベースを弾いていた。ウッディ・ウッドマンジーは、その2枚後の超有名なアルバム「the rise and fall of ziggy stardust and the spiders from the mars」(上昇し下降する・・・邦題忘れたが、要するに「ジギー・スターダスト」)当時のボウイのバンド「the spiders from the mars」のドラマーであった。当時のギタリストはミック・ロンソン、ベーシストはトレバー・ボルダー。
私は、1984年に「世界を売った男」を初めて聞いたが(それまでに、スペース・オディティや、ジギー・スターダスト、アラジン・セイン、ロウ、ヒーローズといったアルバムを聞き込み、すっかりボウイに魅せられていた)、このアルバムの1曲目、「the width of a circle」(円軌道の幅)でのトニーのベースがとても好きで(決してうまくなく、途中で音を外しているのだが)、この人はどんな人なんだろうとずっと思っていたのである。
その人が来日するというのだから、しかも、スパイダース・フロム・ザ・マースのドラマーも来るっていうんだから、そりゃ演奏下手でも行きたくなりますね。この「ビルボードライブ東京」は、東京ミッドタウンにあるということもあり、高くてその点今ひとつなのだが、いろいろいいアーチストが来るので、今回も「散財」。
1曲目は予想通り「円軌道の幅」。のみならず、その後、「世界を売った男」の曲を順番にプレイし、結局全曲やってしまった。トニーがMCで、「このアルバムの曲の演奏を全曲やったのは、発表以来45年目で初めて、それも日本で。」というようなことをいっていたような気がする(最後の方は怪しいが、45年間やってなかったのはホントらしい。)。イヤー感慨深かった。ボーカルが元ヘブン17のグレン・グレゴリーという人で、まさに80年代にボウイの影響下から登場してヒットを連発したグループにいただけあって、全く違和感なくボウイ・ワールドを自分のものとしていた。「世界を売った男」という曲自体は、ニルヴァーナもアコースティックライブアルバムで取り上げている名曲だが、やはりいい曲だ。このアルバムは、ボウイのアルバムの中でも比較的ブリティッシュ・ハードロック的な要素が強いという印象があるが、全体にくぐもったような感じの音にも魅力があり、まさに「ジギー」とか「アラジン」「ダイヤモンドの犬」などで華やかに全開状態で活躍する前夜という印象がとても感じられる良いアルバムである。そのアルバムを全曲やってくれたのは非常に嬉しかった。
その後に演奏された曲も、メドレーの1曲目(何か、グレン・グレゴリーによれば、ボウイと「スパイダース・フロム・ザ・マース」が73年にハマースミスオデオンで演奏したものらしい。)を除いては全曲知ってるものばかり(その1曲目も、おそらくスペースオディティに入ってたと思う)。「ジギー・・」から、「ファイブ・イヤーズ」「ムーンエイジ・デイドリーム」「ジギー・スターダスト」「ロックンロールの自殺者」(客席からコールがあったら演奏したのでおもろかった)、「ハンキー・ドリー」から、「チェンジ」「タイム」「オー・ユー・プリティ・シング」(メドレー3曲目)といったところ。それに、メドレーの2曲目は「all the young dude」(すべての若い野郎ども。ボウイ作で、モット・ザ・フープルが大ヒットさせた。ボウイもライブでしょっちゅう取り上げていた。)で、思わず涙が出た。
バック・コーラスは、トニーの娘と、故ミック・ロンソンの娘。ギタリストが2人と、12弦ギターを担いだりサックス吹いたりする男1人、それにキーボード奏者(女性)。ギタリストとサックスのうちの誰かが、元ジェネレーションX(ビリーアイドルのバンドね)のメンバーらしい。かなり豪華メンバーであった。
ウッディが、風貌はすっかりおじいさんなのだが、とても元気に演奏しているのが頼もしかった。これに対しトニーは、黙々と、これはホントにおじいさんという感じで、控えめな演奏(1曲目でいきなりピックを落とし、それを4曲目頃になってようやく拾っていた(笑))。71才らしい。ジミーペイジやジェフベックとおないどしだな。キース・エマーソンもそうかも。
ラストは、「サフラジェット・シティ」。当然大盛り上がりで終了。
お客さんは当然かなり高年齢。このレベルでももうこのくらいの年齢か。そりゃそうだ。「ジギー」が出た頃15才だとすれば、もう58才だもんな。こっちはまだ小学生だったし、その頃のリアルタイムの経験はないが。
「ボウイがそこにいれば良かった」なんて思ったりしないでもなかったが(トニーが、「ここにいない2人に拍手を・・ミック・ロンソンとボウイ」というようなことを言っていた。ボウイとは相変わらず昵懇のようで、ボウイが10年少し前に出したアルバムのプロデュースもしていた。)、グレン・グレゴリーがほんと、結構頑張ってたので、ボウイがいないことでの残念感はあまりなかったというのが正直なところ。
新しいことがあるわけではないけれども、なんというか嬉しいライブであった。
とても不愉快で許しがたいことがあった直後でもあるし。
近いうちに、ボウイを特集しよう。
アルバム毎に、新たな基軸を打ちだし、
スペースボーイから、ハードロック、フォーク、グラムロック、フィラデルフィアソウル、シンセサイザーサウンド(ロバフリやイーノも参加したベルリン三部作)、そして「スケアリー・モンスターズ」へと。
83年、「レッツ・ダンス」を出して以降は、大衆路線へと向かい、以前の研ぎ澄まされたセンスは後退してしまったが、
それでも一昨年春に突如、「ネクスト・デイ」で復活したときの衝撃は未ださめやらない。
なにせ、心臓バイパス手術をしてから、ライブはおろか、新譜も出してなかったのだから。
後進に影響を与えたという意味でも、ビートルズに並ぶ功績があるのではないだろうか。
同時代のルー・リードやイギーポップ、ロキシー・ミュージック、70年代後半のパンク・ニューウェーブ系、80年代のニュー・ロマンティック系、ここから派生したカルチャークラブ、デュラン・デュラン、ヒューマン・リーグ等の第2次ブリティッシュ・インベイジョンといわれた連中、日本でもいわゆる「ビジュアル系」といわれた一連のバンド等々、影響のすそ野はホントに幅広い。
そんなボウイの初期を支えた2人、トニー・ヴィスコンティとウッディ・ウッドマンジーを看板とするバンドが来日公演を行った(7/7 ビルボードライブ東京)。
トニー・ヴィスコンティは、ボウイの初期、1970年に発表された「the man who sold the world」(世界を売った男)というアルバムをプロデュースした人で、同アルバムではベースを弾いていた。ウッディ・ウッドマンジーは、その2枚後の超有名なアルバム「the rise and fall of ziggy stardust and the spiders from the mars」(上昇し下降する・・・邦題忘れたが、要するに「ジギー・スターダスト」)当時のボウイのバンド「the spiders from the mars」のドラマーであった。当時のギタリストはミック・ロンソン、ベーシストはトレバー・ボルダー。
私は、1984年に「世界を売った男」を初めて聞いたが(それまでに、スペース・オディティや、ジギー・スターダスト、アラジン・セイン、ロウ、ヒーローズといったアルバムを聞き込み、すっかりボウイに魅せられていた)、このアルバムの1曲目、「the width of a circle」(円軌道の幅)でのトニーのベースがとても好きで(決してうまくなく、途中で音を外しているのだが)、この人はどんな人なんだろうとずっと思っていたのである。
その人が来日するというのだから、しかも、スパイダース・フロム・ザ・マースのドラマーも来るっていうんだから、そりゃ演奏下手でも行きたくなりますね。この「ビルボードライブ東京」は、東京ミッドタウンにあるということもあり、高くてその点今ひとつなのだが、いろいろいいアーチストが来るので、今回も「散財」。
1曲目は予想通り「円軌道の幅」。のみならず、その後、「世界を売った男」の曲を順番にプレイし、結局全曲やってしまった。トニーがMCで、「このアルバムの曲の演奏を全曲やったのは、発表以来45年目で初めて、それも日本で。」というようなことをいっていたような気がする(最後の方は怪しいが、45年間やってなかったのはホントらしい。)。イヤー感慨深かった。ボーカルが元ヘブン17のグレン・グレゴリーという人で、まさに80年代にボウイの影響下から登場してヒットを連発したグループにいただけあって、全く違和感なくボウイ・ワールドを自分のものとしていた。「世界を売った男」という曲自体は、ニルヴァーナもアコースティックライブアルバムで取り上げている名曲だが、やはりいい曲だ。このアルバムは、ボウイのアルバムの中でも比較的ブリティッシュ・ハードロック的な要素が強いという印象があるが、全体にくぐもったような感じの音にも魅力があり、まさに「ジギー」とか「アラジン」「ダイヤモンドの犬」などで華やかに全開状態で活躍する前夜という印象がとても感じられる良いアルバムである。そのアルバムを全曲やってくれたのは非常に嬉しかった。
その後に演奏された曲も、メドレーの1曲目(何か、グレン・グレゴリーによれば、ボウイと「スパイダース・フロム・ザ・マース」が73年にハマースミスオデオンで演奏したものらしい。)を除いては全曲知ってるものばかり(その1曲目も、おそらくスペースオディティに入ってたと思う)。「ジギー・・」から、「ファイブ・イヤーズ」「ムーンエイジ・デイドリーム」「ジギー・スターダスト」「ロックンロールの自殺者」(客席からコールがあったら演奏したのでおもろかった)、「ハンキー・ドリー」から、「チェンジ」「タイム」「オー・ユー・プリティ・シング」(メドレー3曲目)といったところ。それに、メドレーの2曲目は「all the young dude」(すべての若い野郎ども。ボウイ作で、モット・ザ・フープルが大ヒットさせた。ボウイもライブでしょっちゅう取り上げていた。)で、思わず涙が出た。
バック・コーラスは、トニーの娘と、故ミック・ロンソンの娘。ギタリストが2人と、12弦ギターを担いだりサックス吹いたりする男1人、それにキーボード奏者(女性)。ギタリストとサックスのうちの誰かが、元ジェネレーションX(ビリーアイドルのバンドね)のメンバーらしい。かなり豪華メンバーであった。
ウッディが、風貌はすっかりおじいさんなのだが、とても元気に演奏しているのが頼もしかった。これに対しトニーは、黙々と、これはホントにおじいさんという感じで、控えめな演奏(1曲目でいきなりピックを落とし、それを4曲目頃になってようやく拾っていた(笑))。71才らしい。ジミーペイジやジェフベックとおないどしだな。キース・エマーソンもそうかも。
ラストは、「サフラジェット・シティ」。当然大盛り上がりで終了。
お客さんは当然かなり高年齢。このレベルでももうこのくらいの年齢か。そりゃそうだ。「ジギー」が出た頃15才だとすれば、もう58才だもんな。こっちはまだ小学生だったし、その頃のリアルタイムの経験はないが。
「ボウイがそこにいれば良かった」なんて思ったりしないでもなかったが(トニーが、「ここにいない2人に拍手を・・ミック・ロンソンとボウイ」というようなことを言っていた。ボウイとは相変わらず昵懇のようで、ボウイが10年少し前に出したアルバムのプロデュースもしていた。)、グレン・グレゴリーがほんと、結構頑張ってたので、ボウイがいないことでの残念感はあまりなかったというのが正直なところ。
新しいことがあるわけではないけれども、なんというか嬉しいライブであった。
とても不愉快で許しがたいことがあった直後でもあるし。
近いうちに、ボウイを特集しよう。
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