ライブレポート~my bloody valentine at豊洲PIT

お盆の時期だけれども、暦通り出勤です。
そして、こまごまといろいろあり、暇にしている時間はあまりない。
とはいっても、スケジュール自体はさほど詰まってはいないし、実際に県庁あたりは人通りがまばらなので、
気分的には若干のんびりという感覚になる
(ただ、こういうときに結構、刑事事件の集中審理とかやっていたりする)。

そんなわけで、マイ・ブラディ・バレンタインが来日したので、十数年来の希望を叶えるべく、公演へ。
ケヴィン・シールズを中心とする彼ら彼女たち。1991年(だったか)に出た、「loveless」というアルバムは、もちろん爆発的な売れ行きを示したわけではなかったが、このような「シューゲイザー系」のまさに元祖中核のバンドとして、一部の人たちに熱狂的な支持で迎えられ、その後多数のフォロワーを呼んだ(と思う)。
その後、彼ら彼女たちは、長い長い沈黙に入った。何分「loveless」は制作費が馬鹿高かったらしいので、とてもその回収など出来ていなかったように思うのだが、数年前に、20何年ぶりかで新作を出した。その後は、ライブなどちょくちょく活動をしているように思う(最近こういった情報にすっかり疎くなっているが)。

今回は、サマソニの前夜祭である「ソニックマニア」へ出場するが、その前に1回だけの単独公演ということで、昨夜であった。
この会場は始めて。Zepp Tokyoよりもキャパが広い、オールスタンディングだと3000人以上収容できる会場らしい。このような会場の場合、いつも気になるのはロッカー。仕事で使っているリュックは結構でかいので、これが入らないと困ってしまう。予め調べたところ、会場のロッカーは結構間口が小さそう。そこで、徒歩10数分の距離ではあるが、有楽町線の豊洲駅のコインロッカーがサイズが揃っているようなので、そこに預けることとする(結果的にこれは成功であった。)。
整理番号が前の方だったので、18:30の開場よりも早めに出向いてみると、思いの外客層が若い!80年代末~90年代初めにヒット作があるのだから、40代が中心かと思いきや、20~30代が大半であるのには驚いた。会場全体を見渡すことはできなかったので、適当だけれど、入りはほぼ8割以上ではないか?なら2500人くらいは来ていたのかも。まあ単独公演1回ならそうなるか。

爆音・轟音ライブであるというもっぱらのうわさであった。入場の際に耳栓を配るというユニークな対応。いつもとはちがい、さきにティーシャツやトートバッグを購入。開演予定は19:30だったが、開始が遅れ、その点好感が持てた(笑)。最近は開園時刻ぴったりに始まるのがほとんどで、何というか予定調和的な感じがあってイマイチに感じていたもので。

始まるやいきなり轟音、轟音。ディストーションかかりまくりのギターの爆音サウンド、ドラムのボリュームも最大。CGグラフィックのサイケな映像を背景に、メロディーがほとんど聞き取れないような音の洪水。この曲なんだ?等と考える余裕すらない音の爆撃。耳栓をちょっとしてみたりしたが、低音しか聞こえなくなってしまうので、もうとにかくこの音に立ち向かうことに決めた。「loveless」の1曲目など、やっとの事で聞き取れたメロディがゆがむゆがむ。思い切り不安・不安定な心境にたたき落とすような演奏。おそらくこのバンドで一番有名な曲と思われる「soon」も、アンコールとか本編ラストとかにおかずにあっさり演奏してしまう。しかも「次はラストソング」といって、轟音メロディーのあとほぼ騒音としか言いようのないギターの絶え間ないうなり(数分同じ爆音が続く)。そしてアンコールなくあっさり終了。しかし時計を見たら、なんと2時間経っていた・・・そんなに経っていたのか?という感じ。爆音演奏が終わり観客が沸くと、一時的にシーンとなる。1,2分ほど間を開けて、またも爆音演奏。MCほぼなし。緩急、静と動が繰り返される。

率直に言って、ここ数年(十数年?)の間に見たライブの中で、1,2を争うすばらしい内容だったように思う。爆音に身を委ねる中で、なんというか、ロックの本来的な初期衝動というものを呼び起こすことが出来た。このバンドは、ミニマルミュージック的な側面も多分にあると思うが、個人的には特にSPEEDYなハードロック的演奏に、本当に高揚させられた。公演後しばらく、耳がどこか遠くに行ったような状態になっていたのも久々。もう30年生のバンドなんだけれども、未だにロックシーンの(すっかり衰えたロックシーンの)前衛を担っている、まさに本来の意味でのプログレッシブなバンドなんだろうと思った。若いファンが多く集まるのもうなずける。

とても万人受けするタイプではもちろんない、単なる騒音としか捉えることが出来ない人の方が多いだろう。しかし、個人的には、思ったよりも高揚できた、そんなすばらしい時間だった。お節介なメッセージなどなくとも、音それ自体から何かを感じ取ることが出来る、それこそが私の欲する「音楽」である。

ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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