夏フェス遅ればせながらデビュー(サマーソニック)

今から40年前に、ウッドストックロックフェスティバルの映画を見た。
1969年に開催され、すでに40年前の時点でも10年近くが経過していたこのフェス、
ジミヘン、ザ・フー、スライ&ザ・ファミリーストーン、CS&N、カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ、キャンド・ヒート等々、そうそうたるメンバーが参加する、超豪華コンサート。そこに集まった人たちのフレンドリーな雰囲気(今からすればまあ「平和だねえ」というように見えるが・・・時はベトナム戦争の最中、みな戦争に駆り出されかねなかったころである)にも魅入られ、こんなのが日本であるといいなあ、などと思ったりしていた(泥まみれになるのはちょっと勘弁だったが)が、やはりそうそうたるメンバーが一堂に会してライブを立て続けにやるというのは、本当に羨ましいことだ、などと考えていた。

時代は流れ、フラワー・ムーブメントの香りはすっかり過去のものとなったが、それでも世界各地で同様のフェスは開かれていた。日本でも、70年代初頭ころに少しあった後、ときどき単発で行われることはあったが、1990年代ころから、政治色は基本的にない(もちろん、各ミュージシャンや出演者が披露することは自由だろう・・1,2年前に、そんなことで出演したシールズの人の言動に批判が集まったことがあったが、個人的にはなんで批判が集まるのか全く訳が分からない。)、基本的に音楽の祭り、として、フジロックフェスティバル、サマーソニック、ロックインジャパン等が相次いで始まり、今では毎夏の恒例行事としての開催が定着した感がある。

しかし、なぜかこれまで、夏フェスを見に行ったことはなかった。
理由はさほどないが(いろいろ予定が絡んでしまっていたこともあるが)、「めんどい」「あつそう」というのがその理由だったと思う。
ただ、昨年病気したこともあり、もう後悔しないでできることはやりたいようにやっていこう、と考えたこともあって、今年は思い切って、サマーソニックを1日だけ見に行くことにした(1人では何なので、娘を誘って)。

会場の幕張メッセ、ZOZOマリンスタジアム等は、これまで意外とまともに出向いたことがなかった。会場がいくつもあり、移動が大変そうだったが、会場間の移動のため無料のバスが運行しており、その点はさほどストレスはなかった。
見たステージは、my song is good(ビーチステージ)、endrecheri(マウンテンステージ)、nulbarich(ビーチステージ)、レキシ(マウンテンステージ)、tom misch(ビーチステージ)、thundercat(ビーチステージ)、そしてbeck(マリンステージ)。
前の方の4つは、いずれも日本人のバンドだったが、このなかでレキシは、おそらくこの人ロックフリークなんだろうな、という感じのMCを、そんなのしらない聴衆に適当に投げかけ、大お笑いイベントのような感じであった。思わず最後まで見てしまった。そのためキュウソネコカミは全く見ることが出来ず。end・・は堂本剛のバンドだそうだが、特にどうということもなし。my song・・は、事前に把握していた情報ほどはスカバンドっぽくはなかったが、多人数編成で賑やかにダンサブルな曲をやっていた。nulbarichは最近売れてきているバンドらしいが、最近の雰囲気を象徴するようなダンスミュージックっぽいバンド。ロックと言うよりもなんというのだろう、という感じ。ギターやベースがみなソフトバンクの松田のような感じで、なんかスタイリッシュな感じもあり、まあなあ、という感じであった。悪くはないと思うが。

やはりこちらは、tom・・以下の3アーチストが一度に見られることに大変期待していた。
まずtom misch。アルバムを何度も聞き、曲は何曲か把握した上での観戦。娘とほぼ同じ20才。東京での初公演とのこと。ある意味nulbarichiあたりにも通ずる感じだが、この人個人はギターの細かなプレイを得意とするよう。全体にこじんまりした感じのステージだったが、今後のさらなる活躍に期待。ブレイクしかけのところで前から4人目くらいで見ることが出来て良かった。最後の集合写真の端の方に映っているかも。
そして、とにかく今回の大収穫はthundercat。自身は6弦ベース、それにキーボードとドラムとのスリーピースバンドだった。いきなり「drunk」の1曲目から入り、続いて2曲目のあのばかテクの曲を更にグレードアップさせた演奏で聴かせる。そしてその後がとにかくすごかった。もうなんというのだろうか、超絶演奏のオンパレード、ジャズロックというのか、ほとんどプログレかよ、という感じのすごいプレーが次から次へと繰り出され、あんぐりと口を開いたままで凝視する、というような状況に。周囲はみんな録画もしまくりだったようだが、さすがにその超絶演奏の最中は、撮影よりも凝視している人が多かったように思う(これを前から3番目くらいで見られたのは本当にラッキーだった)。これはホントにすごい。YouTubeでアップされている映像もあるけれども、直に見たすごさはやはり形容しがたい。ほんと、これを体験できて良かった、来て良かった今年、と心から思った。
演奏終了後、マリンステージへ急ぐ。ベックは2回目だが、前はNHKホールで前から3列目。今回はスタジアムで前から数十列目(もちろんオールスタンディング)。曲の大半は知っているものだったが、やはり1曲目はオーディレイのイントロ、2曲目は「Loser」なんだな、と。しかし、その後は幾つものアルバムから有名曲のオンパレード、新譜からも4曲ほど、しっとり目の曲は一切なしで、一大ショーを繰り広げた。途中で日本人シンガー「daoko」が参加。メンバー紹介の時に、順に「good time」(シック)、「miss you」(もちろんストーンズ)、「blue monday」(ニュー・オーダー)、「once in a lifetime」(トーキング・ヘッズ)と続けて触りだけ演奏してくれたのは、サービスとしてはとても嬉しかった。一時健康を害したと言われていたが、すっかり回復している感じ。アメリカのロックのさまざまないい部分を継承したミュージシャンの、まさにオーソドックスな一大ショーだったと思う。終わったところでビーチステージに行ってジョージクリントンを見られないかと思っていたが、ちょっとそのような元気はなかった(と言うよりも人が多すぎて移動が無理だったという感じ)。

昼間も暑さがさほどではなく、夜になると涼しい風が吹いてくる等までしていた。終了時に花火打ち上げという演出もあり。帰路はくたくただったが、何というか、日帰りながらこの夏の1つのイベントが終わった、という、寂しいような感覚を個人的にも抱いた。特に翌朝になって。

それにしても、こんなことならもっと前から見に来ていれば良かった。改めて振り返ると、すごいミュージシャンが毎年いくつも来ていたのである。ほんと、出不精で良くなかった。来年も行こうか(笑)。











ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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