プログレについては、大変大変詳しい人々がたくさんおり、私のように後発のファンがいろいろというべき話はないように思うが、一度書きたいと思っていたので書くことにする。
プログレを語るとき、どのバンドから語るかというのも、また一つのその人の傾向が現れるような気がするが、いろいろ考えた末、「イエス」からにすることとした。
イエスは、1968年デビュー。デビュー時のメンバーは、ジョン・アンダーソン、ピーター・バンクス、クリス・スクワイア、トニー・ケイ、ビル・ブラッフォード(ブルーフォード)の5人。
デビュー作及び2枚目では、例えばBYRDSの「I SEE YOU」「EVERYDAY」とか、ビートルズの「EVERY LITTLE THING」(なんてマニアックな選曲だ)といったあたりをカバーしたりしていて、フォークロック的な色合いもあったのではないかと思う(じつはこのあたりの音は、スタジオライブでしか聞いていない。)。ただ、「LOOKING AROUND」とかは、結構各パートが主張している曲だったりもするが。これが、3枚目の「THE YES ALBUM」あたりから(ギターがピーター・バンクスからスティーブ・ハウに変わった・・この人はその前は「TOMORROW」という若干遅れてきたサイケデリックバンドで、「MY WHITE BICYCLE」とか、「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」のカバーとかをやっていた。このバンドも結構ユニークで良い。)、後年のプログレ的なサウンド・・各パートが細かなフレーズを紡ぎ出し合いアンサンブルを構成し、そこにジョンの独特のハイトーンボイス(ある意味プログレの定番ともいうべき声)が被さって、イエスサウンドが構築されるようになった(「I'VE SEEN ALL GOOD PEOPLE」とか)。
1971年の「FRAGILE」(こわれもの)、そして大作「CLOSE TO THE EDGE」(危機)という、未だに名作と言える作品で、イエスは最初のピークを迎えたと思う。この時期に私のこよなく愛するドラマー、ビル・ブラッフォードは脱退し、キング・クリムゾンへ移り、その代わりにジョンレノン&プラスティック・オノ・バンドにいたアラン・ホワイト(この人はわりとオーソドックスな感じ)が入ってきている。キーボードも、トニー・ケイから、リック・ウェイクマン(個人的にはこの人はクラシック色が強すぎてちょっとな、というところがある。聞かず嫌いのところもあるが。)に交代。前作は、各メンバーの作品が小品のようなものも含めてちりばめられているが、超有名なヒットシングル「ROUNDABOUT」、クリスのベースが攻撃的な「HEART OF THE SUNRISE」、ビルのジャズセンスのかっこいい曲名忘れた曲等々、どれをとってもレベル&テンションの高い曲ばかりが入った奇跡的な作品。後者は、「危機」「同志」の大作2曲に、これまた名作「サイベリアン・カートルー」という傑作。大作がやや苦手な私にとっても、名盤との評価が納得いくアルバム。
このあとで、「TALES FROM TOPOGRAPHIC OCEANS」(海洋地形学の物語)というのを出しているが、ただでさえ大作指向なうえに二枚組で、わたしは未だにきちんと聞き通せていない(一般的な評価も微妙らしいが)。個人的には、この次に出た「RELAYER」というアルバム(ソロで成功したリック・ウェイクマンがいったん抜け、パトリック・モラーツが参加)が結構好きで、この頃のライブとか直接見てみたかったなどと思ったりしている。3曲しか入っておらず、その意味では大作指向でもあるのだが、なんというか間延びしていた「海洋地形学・・」と比べて、「THE GATES OF DELIRIUM」「SOUND CHAISER」と、緊張感あふれたよい曲が並んでいる。
パトリック・モラーツは残念ながら1作のみで抜け、このあとリック・ウェイクマンが復活して、次作「GOING FOR THE ONE」(究極)が出ることとなる(1977年)。この間にライブ「YES SONGS」が出ていたように思うが。
ところで、このバンドの特徴としては、なんといってもジョン・アンダーソンのボイスが挙げられるが、スティーブ・ハウの(時にヘタウマとも思えるが)細かなフレーズ(フラメンコギター的な小品もある)に加え、やはりクリス・スクワイアの野太いベースがポイントなんだろうと思う。以前このブログで、好きなベーシストとして、ジョン・エントウィッスル、アンディ・フレイザー、ジャン・ジャック・バーネルとともに挙げたことがあるが、野太く激しく動き回るベースラインは、このバンドの一つの魅力となっているように思う。クリス・スクワイアは、その後いろいろなメンバーが行き交い、空中分解したイエスが再結成され、いったんは9人イエス、なんていう状況にもなったときに、メンバー間を取り持ったと言われる人物で、その意味でもイエスにおいては極めて重要な人物であった。彼が亡くなって、その意味で今は、イエスを糾合する人物がいなくなった状況にはあるということ。
なお、ロジャー・ディーンによるアルバムジャケットも毎回秀逸(途中からヒプノシスに変わったか?)。
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