少し前に、フリートウッド・マックの70年代のアルバム数枚のボックスセットを大人買いしたと書いたと思う。
最近なかなか聞くまとまった時間が取れないが、車での移動の時とか、食事を作っているとき、洗い物をしているとき布団を敷いているとき洗濯をたたんでいるとき等々に少しずつ聞いて、なんとなく雰囲気がつかめてきた。
この70年代の時期というのは、マックがブリティッシュ・ブルース・ロックバンドとして登場した第1期(ピーター・グリーンを中心とした時期)と、スティービー・ニックスやリンジー・バッキンガムを擁して「ファンタスティック・マック」「噂」といった超ビッグヒットアルバム(後者は全米アルバムチャート30週以上ナンバーワン)を連発した時期の狭間である。メンバーも、第1期からピーターグリーンが、ジェレミー・スペンサーが、ダニー・カーワンが順々に抜け、ボブ・ウェルチが代わって中心的な役割を担っていた時期である。
この時期の最初のアルバム「then play on」(70年)は、第1期の延長的なところがあり、まだ在籍していたピーター・グリーンの色が濃厚に出たブルース・ロックを基調としたものである。個人的にこのバンドの第1期はとても好みなので、このアルバムのノリも好感が持てる。アルバムの正規の収録曲ではない「oh well」という珠玉のロックナンバー(トリプルギターが炸裂。全英2位のヒット。カバーバージョン結構ある)もボーナスで収められている。この次の「killin’ house」では、ピーター・グリーンが脱退し、むしろジェレミー・スペンサー色が前に出ている(彼のヒーローであるバディ・ホリー的な曲とか、初期ロックンロールのノリ。全体に少し軽めな感じか)。その後、ボブ・ウェルチが加わり、「future game」が出るが、個人的には今回のボックスの中でこのアルバムが一番好み。ブルース・ロック色はほとんどなくなり、その代わりに全体に黄昏れたようなサウンド。ボブのほか、ダニー・カーワン作、またクリスティーン・マクビー作の楽曲もなんとも味わい深い。その後は、「bear trees(枯れ木)」「penguin(ペンギン)」「mystery to me」「heroes are hard to find」というアルバムを74年にかけて出すが、まあそこそこの水準とは思いつつも、やはり大ブレイクは難しいのかな、という感じか(このボックスセットにはもう1枚、74年のライブも入っている。)。その中でも「枯れ木」に入っているボブの「sentimental lady」は、ソロ作品として78年はじめ頃に全米トップテン入りの大ヒットをすることとなる。
今となってはピーターも亡く、ボブも亡く、ダニー・カーワンもしばらく前にほぼホームレス同様の状況で亡くなったことを書いた。もう45年も50年も前の話だが、「future game」を聞きながら、地味ながら活躍していた当時を偲ぶ。
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