アーティスト探訪・プログレ編~ピンク・フロイド(その2)

・モア(1968年?69年?)

同名映画のサントラ盤という形で出たもの。まあ、その意味では正規版ではないのかも知れない。フロイドは他にも同じような作品がある。

このアルバムは、前に述べたような「大作」は含まれていない。映画に挿入された小品を集めたもの、という感じ。

しかし、オープニングの「サイラス・マイナー」はいきなり、フロイドの牧歌的な、そして幻想的な世界へ聞き手を招き入れる。個人的にはとても好きな曲。同名の小説が岩波文庫から出ており、大学生の頃購入したが(もちろんフロイドとは関係ない、古典作品)、結局読まずじまいだった。他の曲も、ヘビーロック調のものあり、フラメンコ調のものあり、またフロイドらしい雰囲気のものもありと、侮れない作品。

・ウマグマ(1969年?)

以前も書いたが、フロイドの中ではもっともポピュラリティの低い(?)、いわば実験的な作品という感がある。一部ライブバージョンが入っており、「神秘」とか、スタジオ正規版がない「ユージン、斧に気をつけろ」という曲も入っているが、他はメンバーのソロアルバムの寄せ集め的な感じ。そんなわけで一番聞き込んでないアルバムでもある。最近車で移動中に一通り聞いたが、ある意味一番プログレ色が強いアルバムなのかも知れない。ロジャー・ウォータースによる「グランチェスター牧場の・・」あたりは、牧歌性が醸し出されているが。


・原子心母(atom heart mother)

いわばフロイド第2期の最高傑作の1つ。A面はこの「原子心母」という曲1曲のみ。結構壮大な感もあるが、個人的には結構好きな曲である。フロイドとのまさに最初の出会いはこの曲であった。正直最初は、「原子心母」というタイトルのイメージも含めたある種の衝撃とともに、プログレというのはこういうのなんだ、と、ビートルズの「レボリューションナンバー9」みたいなのとも違う、一大パノラマを描き出すものなんだなあと、なんとなくイメージしたりした。もっとも、大作なのでしばらくとっつきにくかったが、大学生の頃にちょっと落ち込んだことがあり、「原子心母」でも聞いたら眠ってしまえるかな、と思って聞き始めたところ、最後まで聞き入ってしまったということもあった。レコード時代でいうB面にあたるほうには、4曲の小品が収録されているが、これがまたピカイチ。「if」「summer'68」「fat old sun(デブでよろよろの太陽)」「アランのサイケデリック・ブレックファスト」という4曲であるが、ロジャー・ウォータースの1曲目、3曲目のほか、リック・ライトのこの2曲目が個人的にはとても好み。4曲目は、朝の部屋の生活音(水滴とか,歯磨きとか)をベースに、途中からインストのメロディが入ってくるのだが、リック・ライトのピアノがよい。これもとても趣のある曲。後半に向けて徐々に曲が(控えめに)高揚して行く流れもよい。最後は水滴のポツポツという音で終わる。ちなみにアランとは、このアルバムのエンジニアを担当していたアラン・パースンズのことだそうだ(80年代にヒット曲を連発した。「eye in the sky」とか。)。


やはりフロイドは2回ではとてもまとまらなかった。


ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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