アーチスト探訪の第1回を、ゼップとしたのは、ほかでもない。
10年近く、またそれ以上の活動機関を経たバンドで、
そのほとんどすべての曲を聴いたことがあり、かつ曲名もおおむね把握しているのが、
ビートルズとこのバンドくらいしかないからである。
まあ、そのくらい、昔からけっこう繰り返し聞いていたバンド。
一般には、「ハードロック、ヘビーメタルの祖」というように言われている。
そう言いたい感覚は、必ずしも否定しない。
しかし、そのように言ってしまって終わっている人というのは、あまりゼップを聞き込んでない人なんだろうとは思う。
「ヘビーメタルの祖」というのなら、ディープ・パープルやブラック・サバスの方が、直接的な影響を大きく及ぼしていると思う(実際、ゼップ直系と思われる音を奏でるバンドはそう多くない。パープルの亜流はたくさんいると思うが。)。
これらのバンドと比べて、ゼップは多彩である。
ルーツをブルースにおきながらも、ケルト音楽ないしブリティッシュ・トラッドとか、アラブ音楽とか、ジェームスブラウン等のファンクミュージックとか、CSN&Yあたりをはじめとするアメリカ西海岸系のロック等々、さまざまな要素が垣間見られる。
ジミーペイジ、ジョンポールジョーンズという、元々他のミュージシャンのプロデュースなどを手がけていたメンバーもおり、音楽的な素地はかなり厚いグループ。単に「ヘビーメタル云々」と言ってしまうのは、あまりにも雑。
レッド・ツェッペリンの魅力を一言で言えば、「緩急の妙」および「リフ」(二言だった)。
例えば、「nobody's fault but mine(俺の罪)」のような曲に見られる、激しさのあとの「間」と、更に続く激しさ。また、「for your life」「wanton song」というような曲で聞ける、ある人にとっては単調なのだろうが、私のような人にとっては徐々に高揚して行く感覚がたまらない「リフ」である。
「whole lotta love(胸いっぱいの愛を)」とか、「stairway to heaven(天国への階段)」というような定番曲においても、これらの魅力は垣間見られる。
かと思えば、「stairway~」でなく、「rain song」「the battle of evermore(限りなき戦い)」「thank you」といった曲での、アコースティックな、あるいはどこか幻想的な感覚。イギリスのバンドならではの音(「the battle~」では、ブリティッシュフォークのバンドであるフェアポートコンベンション(このグループも良い)のサンディ・デニーが客演)。
各アルバムに個性があり、それぞれ魅力がある。
ジョン・ボーナムが死んで、メンバーを補充することなく解散してしまったのも、やはりこのメンバーならではの音を出して行ける確信が持てなかったと言うことなのか?(その割には、ジミーペイジは度々再結成をしたがっているようだ。最近新境地を切り開いているロバートプラントはあまり乗り気でないようだが。)。
もっとも、個人的には、ロックを聴き始めたころ既にこのバンドは最晩年(結果として)で、最初に出たオリジナルアルバム「in through the outdoor」が、残念ながら他のアルバムの水準に達しておらず、その後1年ほどで解散してしまったわけで、当時は残念感が強かった(解散後に出た寄せ集めの「coda」は、かなり良かったが。)。
どのアルバムもかなりの水準である。
1枚目・・荒削りなブルースハードロックだが、衝撃性は1曲目から強い。アコースティックな側面もふんだん。「dazed and confused」のめまぐるしい構成は、本当に興奮もの(これも、緩急の妙)だし、「communication breakdown」の瞬発力もすばらしい。
2枚目・・まず「胸いっぱいの・・」でがつんとかまし、最後の「mobby dick」とあともう1曲(ど忘れした曲名を)まで一気に聞かせる。2曲目、4曲目、それから「heartbraker」(ストーンズやグランドファンクのやつとは違う)もよい。
3枚目・・1曲目は「immigrant song(移民の歌)」。B’sが大パクリしている(私は曲名を知らないのだが、かなり有名な曲)。前曲「friends」からの流れで「celebration day(祭典の日)」に突入するところなど最高。B面は打って変わってアコースティックオンパレード。これがまた良い。ツェッペリンの多彩さを3枚目にして見せつけてくれた、優れた作品(発売当時は賛否両論あったらしいが)。
4枚目・・個人的にはB面が少し重いかな、という感(「california」はロバートの西海岸への憧憬がうかがえる。)。A面はライブでもお馴染みの有名曲オンパレード。最高傑作という人がいるのも分からないではない。
5枚目・「聖なる館」。他のファンとはちょっと違うかもしれないが、私はこのアルバムの1曲目「the song remains」が、ツェッペリンのマストの1つと考えている。理屈ではなく。感覚の問題。従前からの重いブルース系のロックではなく、むしろプログレにも傾斜したり(「ノー・クォーター」とか)、レゲエ(「day jer make her」)もあるアルバムだが、この1曲目から4曲目に至るA面は出色。4曲目のファンキーな曲調も最高である。幅広さを感じる。
6枚目・・2枚組のアルバムというのは、得てして冗長になるのであるが(ビートルズのホワイトアルバムは個人的にはそうではない。ばらけてはいるが多彩とも言える。)、この「フィジカル・グラフィティ」も、ちょっとそのような部分がないではない。2枚一気に聞くのはちょっと大変。ただ、1枚目は曲は長いが、個人的には気に入っている。「the rover」とか、「死にかけて」とか、重量級の曲が並んでいる。長い曲なのだが長さを感じない(ただ、わりと人気がある「カシミール」が私はだめなんだな。冗長感が強くて。)。2枚目の方では、ちょっといつものツェッペリンと違った感じの曲が並んでおり、(ライブを除いて)8枚目との共通点もやや感じるが、いい曲もいくつもある。
7枚目・・「presence」。せめてこのアルバムを原体験として聴きたかった。短期間に一気にレコーディングして、ヘビーかつハードなゼップを直球勝負でぶつけてきた感じ。1曲目もいいが、個人的には2曲目の「for your life」がほんとにいい。単調とも言えるリフをベースに、徐々に高揚して行く感覚がたまらない。ジミーペイジの魅力爆発である。7曲くらいしか入ってなかったと思うが、最後のブルースナンバーも含め、すて曲はない。
8枚目・・残念な最終アルバム。なんというかなー。まず、「キレ」がないんだよね全体に。音がもこもここもっている感じだし。ロバートの歌もやや下降線かな、という感じだし、中近東っぽかったり等、曲調がバラエティに富んでいると言えばそうなのだが、正直とっちらかってるし。「この曲はいい」というのがないんだよね。「all my love」とか、「ケラウスランブラ」あたりを聞き物にしようと思ったのだろうけど、中途半端。パンク時代に血迷ったか?残念。
9枚目・・「CODA」。解散後に出た未発表曲集。古い時代のものも含まれているわけだが、あとの方の曲でも、なんでこれオリジナルアルバムに入れなかったの?というのが並んでいる。これが出てくれたおかげで、8枚目が最終という残念すぎる現実が、ちょっと緩和された感じ。全米アルバムチャートでも、他のアルバムのように1位にはならなかったが、5位あたりまでは上がっていたと思う。1曲目のほか、「ウォルターズ・ウォーク」が特に良い。
なお、あと1枚「永遠の歌ライブ」というライブアルバムがある。
これは、ゼップのライブをベースに作られた映画のサントラと言っていいものであるが、
私はこの映画を最後まで見通したことがない。3回くらい映画館に見に行っているが、いずれも途中でねてしまっている。
やっぱり、ちょっと長いんだよな・・。
次回は・・david bowieの予定。
10年近く、またそれ以上の活動機関を経たバンドで、
そのほとんどすべての曲を聴いたことがあり、かつ曲名もおおむね把握しているのが、
ビートルズとこのバンドくらいしかないからである。
まあ、そのくらい、昔からけっこう繰り返し聞いていたバンド。
一般には、「ハードロック、ヘビーメタルの祖」というように言われている。
そう言いたい感覚は、必ずしも否定しない。
しかし、そのように言ってしまって終わっている人というのは、あまりゼップを聞き込んでない人なんだろうとは思う。
「ヘビーメタルの祖」というのなら、ディープ・パープルやブラック・サバスの方が、直接的な影響を大きく及ぼしていると思う(実際、ゼップ直系と思われる音を奏でるバンドはそう多くない。パープルの亜流はたくさんいると思うが。)。
これらのバンドと比べて、ゼップは多彩である。
ルーツをブルースにおきながらも、ケルト音楽ないしブリティッシュ・トラッドとか、アラブ音楽とか、ジェームスブラウン等のファンクミュージックとか、CSN&Yあたりをはじめとするアメリカ西海岸系のロック等々、さまざまな要素が垣間見られる。
ジミーペイジ、ジョンポールジョーンズという、元々他のミュージシャンのプロデュースなどを手がけていたメンバーもおり、音楽的な素地はかなり厚いグループ。単に「ヘビーメタル云々」と言ってしまうのは、あまりにも雑。
レッド・ツェッペリンの魅力を一言で言えば、「緩急の妙」および「リフ」(二言だった)。
例えば、「nobody's fault but mine(俺の罪)」のような曲に見られる、激しさのあとの「間」と、更に続く激しさ。また、「for your life」「wanton song」というような曲で聞ける、ある人にとっては単調なのだろうが、私のような人にとっては徐々に高揚して行く感覚がたまらない「リフ」である。
「whole lotta love(胸いっぱいの愛を)」とか、「stairway to heaven(天国への階段)」というような定番曲においても、これらの魅力は垣間見られる。
かと思えば、「stairway~」でなく、「rain song」「the battle of evermore(限りなき戦い)」「thank you」といった曲での、アコースティックな、あるいはどこか幻想的な感覚。イギリスのバンドならではの音(「the battle~」では、ブリティッシュフォークのバンドであるフェアポートコンベンション(このグループも良い)のサンディ・デニーが客演)。
各アルバムに個性があり、それぞれ魅力がある。
ジョン・ボーナムが死んで、メンバーを補充することなく解散してしまったのも、やはりこのメンバーならではの音を出して行ける確信が持てなかったと言うことなのか?(その割には、ジミーペイジは度々再結成をしたがっているようだ。最近新境地を切り開いているロバートプラントはあまり乗り気でないようだが。)。
もっとも、個人的には、ロックを聴き始めたころ既にこのバンドは最晩年(結果として)で、最初に出たオリジナルアルバム「in through the outdoor」が、残念ながら他のアルバムの水準に達しておらず、その後1年ほどで解散してしまったわけで、当時は残念感が強かった(解散後に出た寄せ集めの「coda」は、かなり良かったが。)。
どのアルバムもかなりの水準である。
1枚目・・荒削りなブルースハードロックだが、衝撃性は1曲目から強い。アコースティックな側面もふんだん。「dazed and confused」のめまぐるしい構成は、本当に興奮もの(これも、緩急の妙)だし、「communication breakdown」の瞬発力もすばらしい。
2枚目・・まず「胸いっぱいの・・」でがつんとかまし、最後の「mobby dick」とあともう1曲(ど忘れした曲名を)まで一気に聞かせる。2曲目、4曲目、それから「heartbraker」(ストーンズやグランドファンクのやつとは違う)もよい。
3枚目・・1曲目は「immigrant song(移民の歌)」。B’sが大パクリしている(私は曲名を知らないのだが、かなり有名な曲)。前曲「friends」からの流れで「celebration day(祭典の日)」に突入するところなど最高。B面は打って変わってアコースティックオンパレード。これがまた良い。ツェッペリンの多彩さを3枚目にして見せつけてくれた、優れた作品(発売当時は賛否両論あったらしいが)。
4枚目・・個人的にはB面が少し重いかな、という感(「california」はロバートの西海岸への憧憬がうかがえる。)。A面はライブでもお馴染みの有名曲オンパレード。最高傑作という人がいるのも分からないではない。
5枚目・「聖なる館」。他のファンとはちょっと違うかもしれないが、私はこのアルバムの1曲目「the song remains」が、ツェッペリンのマストの1つと考えている。理屈ではなく。感覚の問題。従前からの重いブルース系のロックではなく、むしろプログレにも傾斜したり(「ノー・クォーター」とか)、レゲエ(「day jer make her」)もあるアルバムだが、この1曲目から4曲目に至るA面は出色。4曲目のファンキーな曲調も最高である。幅広さを感じる。
6枚目・・2枚組のアルバムというのは、得てして冗長になるのであるが(ビートルズのホワイトアルバムは個人的にはそうではない。ばらけてはいるが多彩とも言える。)、この「フィジカル・グラフィティ」も、ちょっとそのような部分がないではない。2枚一気に聞くのはちょっと大変。ただ、1枚目は曲は長いが、個人的には気に入っている。「the rover」とか、「死にかけて」とか、重量級の曲が並んでいる。長い曲なのだが長さを感じない(ただ、わりと人気がある「カシミール」が私はだめなんだな。冗長感が強くて。)。2枚目の方では、ちょっといつものツェッペリンと違った感じの曲が並んでおり、(ライブを除いて)8枚目との共通点もやや感じるが、いい曲もいくつもある。
7枚目・・「presence」。せめてこのアルバムを原体験として聴きたかった。短期間に一気にレコーディングして、ヘビーかつハードなゼップを直球勝負でぶつけてきた感じ。1曲目もいいが、個人的には2曲目の「for your life」がほんとにいい。単調とも言えるリフをベースに、徐々に高揚して行く感覚がたまらない。ジミーペイジの魅力爆発である。7曲くらいしか入ってなかったと思うが、最後のブルースナンバーも含め、すて曲はない。
8枚目・・残念な最終アルバム。なんというかなー。まず、「キレ」がないんだよね全体に。音がもこもここもっている感じだし。ロバートの歌もやや下降線かな、という感じだし、中近東っぽかったり等、曲調がバラエティに富んでいると言えばそうなのだが、正直とっちらかってるし。「この曲はいい」というのがないんだよね。「all my love」とか、「ケラウスランブラ」あたりを聞き物にしようと思ったのだろうけど、中途半端。パンク時代に血迷ったか?残念。
9枚目・・「CODA」。解散後に出た未発表曲集。古い時代のものも含まれているわけだが、あとの方の曲でも、なんでこれオリジナルアルバムに入れなかったの?というのが並んでいる。これが出てくれたおかげで、8枚目が最終という残念すぎる現実が、ちょっと緩和された感じ。全米アルバムチャートでも、他のアルバムのように1位にはならなかったが、5位あたりまでは上がっていたと思う。1曲目のほか、「ウォルターズ・ウォーク」が特に良い。
なお、あと1枚「永遠の歌ライブ」というライブアルバムがある。
これは、ゼップのライブをベースに作られた映画のサントラと言っていいものであるが、
私はこの映画を最後まで見通したことがない。3回くらい映画館に見に行っているが、いずれも途中でねてしまっている。
やっぱり、ちょっと長いんだよな・・。
次回は・・david bowieの予定。
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