thundercatは良い

渋谷陽一とピーターバラカンの番組のいずれもで「よい」として紹介される新作というのはあまり多くない。最近だと、アラバマ・シェイクスの前作アルバムがそうで、以前も繰り返し書いたとおり、これは大変良いアルバムだった。

最近、thundercatというミュージシャンの「drunk」というアルバムが、この両方の番組でほぼ同時期に紹介された。これは上記の通り希なことなので、これはきっと良いアルバムなのだろうと思い、購入。

この人、ジャズ畑のベーシスト、ということで、ロバート・グラスパーなどとも共演しているようだが、ジャズに止まらず、ファンク、フュージョン、往年の「AOR」、プログレ(というかジャズロック)等のさまざまな要素を持ち合わせているよう。アルバムへの参加も、ケンドリック・ラマーやファレル・ウィリアムスといった最近の売れっ子の他、なんとケニー・ロギンスやマイケル・マクドナルドといったあたりも含んでいる。
私が音楽を最も聴いていた80年代中頃に、このケニーやマイクという人たちはまさに「旬」だったのであるが、個人的にはまあ、嫌いではなかったものの、特に好きでもない、という感じだった。日本では「AORサウンド」は、ボズ・スキャッグスの76,7年頃のブレイクから浸透し、その後結構な人気を博していた。AOR的なものというのはかなり間口が広く、ホール&オーツあたりまで含まれるとすれば個人的にも結構好んでいたが、ちょっとおしゃれ・雰囲気サウンドという感じもあり、積極的に好きにはなれなかった(もちろん、いい曲もいくつもありました。)。ドゥービーブラザースも、マイク時代よりも前のほうがいいんじゃないか(未だにCMでもよく使われる「ロング・トレイン・ランニン」とか、「ブラック・ウォーター」とか、パトリック・シモンズやトム・ジョンストンが中心の時代)、なんて思ったり等もあったし。
しかし、このアルバムではこの2人が参加している曲がなんともよい。thundercatの2人へのリスペクトがあふれた楽曲だと思うが、少しの懐かしさも含め、2人の持ち味が良く出ていると思う。他の曲も、ソフトマシーンの5枚目あたりかと思わせるような曲や、ギターやベース等が馬鹿テクで走り回る曲、その他どの曲もとてもクオリティが高い。アルバム・ジャケットが、thundercatのワイルドな容姿を強調していてちょっと引くが(笑)。「TOKYO」という曲もあり、曲調はなんとなくperfumeのようで、スーパーマリオの電子音のような音も含まれ、こんな風に東京のことをイメージしているのかと、ちょっとほほえましくもなった。

この人、4月に来日公演をするそう。これもまたあまり見に行ったことのないジャンルだが、今からでも購入できればいこうかな、と思う。

ろっくおじさんの戯言

ビートルズが全米制覇をした年に生まれた男(いちおうべんごし)が、音楽ネタや日々の雑感を綴る。仕事には役に立たないブログ。

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